バイオ燃料 VS 食料

何だか、「バイオ燃料」対「食料」の様になってきて心配です。昨日も書きましたが、バイオ燃料が食糧価格の高騰に与えている影響は地域特定の要因であり、世界的な要因ではない。アメリカなどでバイオ燃料は活発ですし、それにより穀物が投機目的で売り買いされている事も事実。その事実は、ある一部の世界での話。

多くの世界では、「バイオ燃料」が食糧価格の高騰に大きく影響を与えているとは言えない。「バイオ燃料」をもっと必用としている地域はある。その理由は、温暖化・気候変動などの為の炭素排出削減といった世界規模の理由ではなく、健康は女性の労働削減と言ったもっとローカルな理由からだ。

先日も書いたが(アフリカのバイオエナジー事情)、僕は少なからず、エチオピアの「バイオ燃料」のプロジェクトに関わっている*1

ここで一番使われている燃料は「薪」、「チャコール」、「ケロシン」。どれもあまりクリーンな燃料とは言えない。これらは多くの煙をだし、匂いもきつい。先日も書いたように、もしこれらの「エネルギーの階梯(Energy ladder)」をあがっていければ、これらの健康を害する煙を家庭から排除できる。

「薪」と「チャコール」から「ケロシン」に「エネルギーの階梯」をあがるのはよい。それにより、女性などが何10キロの薪を運ばなくてすむ。しかし、「ケロシン」も煙を出すし、爆発の恐れがある危険な燃料だ。僕も日本やオーストラリアを自転車で何ヶ月も旅行したとき、ケロシン・ストーブを使っていたので知っているが、かなり臭くて、爆発の恐れでいつも多少びくびくしていた*2

ケロシン」から「バイオ燃料」に移れば、これらの問題は解決される。エチオピアのProject Gaiaは現地で「エタノール」を作って成功している。地元でもかなり「ケロシン」から「エタノール」の「CleanCook Stove」に移ってきている。


バイオ燃料対食料」が一般化して、「使われ方」や「バイオ燃料のもと」を考慮にいれず途上国のバイオ燃料のプロジェクトに支援が得られなくなることが心配です。

【AFP】「バイオ燃料の大量生産は、世界の食糧価格を破壊する『人道に対する罪』である」。国連(UN)の「食糧を守る権利」に関する特別報告官ジャン・ジグレール(Jean Ziegler)氏が14日、ドイツのラジオ番組で発言した。

■食糧用耕地を乗っ取る燃料用穀物生産
 
 独バイエルン放送(Bayerischer Runfunk)のラジオ番組に出演したジグレール氏は、「今日のバイオ燃料生産は人道に対する罪だ」と述べた。

 耕地をバイオ燃料用の穀物生産に使用することで、食糧生産のための耕地が減少してしまうとの指摘は、多くの専門家らが警告している。

バイエルン放送のラジオ番組に出演した国連「食糧を守る権利」特別報告官ジグレール氏は『今日のバイオ燃料生産は人道に対する罪だ』と述べた。
 まったくその通りだ。
 食糧を燃料にすることは本末転倒だ。
 我が輩はバイオ燃料を全面的に反対するのではない。
 生ゴミ、雑草など廃棄処分にしなければならないものを燃料化することは大賛成だ。どんどん推進して欲しい。

【ワシントン=渡辺浩生】食糧の世界的な価格高騰を受け、ブッシュ米大統領は14日、2億ドル(約200億円)の緊急食糧支援を行うと発表した。食糧不足に悩む途上国では政情不安につながり、13日にワシントンで開かれた世界銀行国際通貨基金IMF)合同開発委員会でも緊急支援の必要性が叫ばれた。食料インフレの元凶として米国のバイオ燃料政策が指摘されており、政権の素早い対応には、こうした批判を回避する思惑もありそうだ。

基本的な食料品の価格は過去数か月で急騰しており、エジプトやカメルーンコートジボワールモーリタニアエチオピア、マダガスタル、フィリピン、インドネシアなど多くの国で激しい抗議活動が行われた。コメやトウモロコシ、小麦などの穀物価格は、今後も上昇するとみられている。

現在、世界の穀物在庫量は記録的な低水準となっていることに加え、2007年3月以来、大豆の価格は87%、小麦は130%上昇している。この背景として、中国やインドでの需要が増加していることや大豆やトウモロコシがバイオ燃料に使用されていることなどが指摘されている。

だから、この問題を解決するのに必要なのは、熱帯雨林を破壊してCO2を倍増させるバイオエタノールの生産をやめ、穀物価格の安い時期に欧米の農家を保護するために設けられた輸出補助金などの農業保護を廃止して穀物価格を引き下げることだ、とEconomist誌は指摘している。

*1:Project Gaia http://www.hedon.info/goto.php/ProjectGaiaEthiopia

*2:一度1Mくらいの火柱たったときは腰がぬけました。