「食料危機とバイオ燃料」再考

数日前にBBCから「アフリカのバイオ燃料の将来はどうなのか」聞きたいと電話をもらった。よう「バイオ燃料 VS. 食料」の話が聞きたい感じだった。出張直前だったので、同僚何人かにメールで意見を聞いて連絡すると返事をした。

そしたら、こんなニュースと議論が出てきましたね。

洞爺湖サミットの目玉として、政府は途上国に対して100億円の食糧支援を行なうことを決めた。このバラマキは、かつて沖縄サミットで世界の笑いものになった「IT支援」の二の舞になるだろう。朝日新聞は「食糧暴発」なるシリーズで「投機マネーが食糧不足につけこんで価格を吊り上げている」というキャンペーンを張っているが、下の図をみればわかるように、価格が急騰している米でもここ30年で生産量は倍増しており、絶対的な食糧不足は存在しない。もし投資ファンドが食糧を過大に買い占めているとすれば、いずれ損を出すだろう。


問題は「新興国の需要増」でも「投機マネー」でもない。昨年タイ、インドネシアカンボジアなどの穀物輸出国の気候が不順だったため、彼らが輸出規制を行なって需給バランスが崩れたことがきっかけだ。それにアメリカの愚かなバイオエタノール増産計画が拍車をかけた。これに対応すると称して、EUでは農業所得の34%に及ぶ農業補助金が出され、それに対抗してアメリカでは農業所得の14%を占める農業補助金を増額する動きが強まっている。こうした先進国の農業保護(特に輸出補助金)が途上国の農業生産を抑止し、供給不足を引き起こしているのだ。

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これは逆である。以前の記事でも書いたように、食糧価格を引き下げる最善の政策は、この異常な農業補助金を廃止することだ。農業土木などの関連支出まで含めると、日本の農業補助の規模は毎年12兆円。これをやめるだけで「食糧支援」の1000倍以上の効果があり、しかも財政赤字を大幅に減らすことができる。

洞爺湖サミットは、目玉にするはずの排出権取引経産省や財界が反対している(それは正しい)ため難航しているが、中途半端な「環境サミット」の看板は下ろし、食糧サミットにしてはどうだろうか。日本が率先して農業補助金を全廃し、農産物輸出国の補助金や輸出割り当てを協調して廃止すれば、食糧危機は解消し、洞爺湖サミットは歴史に残るだろう。


食料品は「まだ」1/4だ。書籍の場合、返本率は4割にものぼる。

だからといって、農業をこれ以上「保護」するというのもおかしい。「農業」が保護されているかどうかはさておき、農業に補助金を出すと農家よりも穀物メジャーの懐に入る額の方が多いというのがこれまでに得られた教訓でもある。

もう少し、いい手はないのだろうか....

確かに、農業市場ほど合理的でないマーケットもない。先進国保護政策のせいで南アなどがバイオ燃料を作っても、先進国には売れないと言うはなしもあるし、イギリスのいちごの生産保護がケニアのいちごの生産を圧迫するというはなしもある。


しかし、昨日も書いたが、「イギリスの完熟いちご」と「ケニアの未完熟いちご」の別のマーケットが存在しないと、栄養価の低い野菜や果物ばかりが氾濫するする世界になるかもしれない。イギリスがそんな感じですから。

難しいですね。


それから、話が戻りますが、同僚から「アフリカのバイオ燃料の将来はどうなのか」の返事がきていました。興味深かった話の一つが:


アフリカのバイオ燃料への投資は農業技術の発展にもつながるので、アフリカでは「バイオ燃料 VS. 食料」の単純化はできない。

おっしゃるとおりです。