原子力で儲けるのは日本企業でなく、ウラン・スーパーマーケット

ファイナンシャル・タイムスをちらっと見ていたら気になる記事が載っていた。原子力発電の燃料であるウランの価格が4年ぶりに下落したらしい。理由は新潟の地震による放射能洩れ。この事故が原因で人々の原子力に対する不安が、ウランの価格に影響した。

しかし、この下落は一時的なことで、今後もウランの価格は上昇するとのこと。四年ぶりの価格の下落より驚いたのが、過去4年間でウランの価格は10倍になっていたこと。特に過去1年で価格はほぼ2倍になっています。

価格が上がる理由は、それだけウラン、すなわち放射能洩れ、いえいえ、原子力発電の需要がそれほど高いことを示しています。今まで、先進国で建設された原子力発電所の施設が老朽化したのと、インドや中国のエネルギー需要に答える為に多くの新しい原子力発電所の建設が計画せれているようです。現在437ある原子力発電所に加えて、74の原子力発電所が建設中で182の原子力発電所が計画中。その内、77の原子力発電所が中国にできる計画になっています。 BBCでも似たような特集を放送していました。インドでも似たような動きのようです。正確にいえばインドの方が進んでいるので、中国でもインドの様に進んでいると言ってもいいかもしれません。

そのBBCの番組を見ていたら本当に、ウランの販売がスーパーマーケットチェーンの様に見えてきた。ウランは小さな粒のような物に梱包せれて、郊外の大きな倉庫に補間されている。その会社は注文によって、世界中にウランを販売。昔、ラムネやコーラの瓶をお店に持っていったら、10円もらえたように、ウランの価格にも初めから放射能廃棄物の回収の費用が含まれている。

そして、そのウラン・スーパーマーケットチェーンは半分以上のウランをロシアから買っている。冷戦崩壊で旧ソ連核兵器が解体されて、それがアメリカの流れて、そこからはもう、まるでナイキの靴の様に世界中に流れていく。





日本は原子力発電所を作る技術を持っているので、世界中で新しい原子力発電所が建設されると、日本の企業が多くの仕事を請け負うだろう*1。しかし、だからといってたくさん儲けるとは限らない。このスパーマーケットチェーンの様な原子力市場で一番儲けるのは、アメリカのウラン・スーパーマーケットチェーンの会社やロシアだろう。4年で価格が10倍になり今後も上がりつづけるというのだから、笑いが止まらないはず。値段が上がりつづけるのは何も需要があるだけの話ではない。

デビィアス・ダイヤモンドはダイヤモンドの供給を完全にコントロールできるので、あれだけダイヤモンドが高値で売られているのだ。出し惜しみされると、高いお金を払ってでも、そのものが欲しくなる。実際、ダイヤモンドよりルビーやサファイヤの方が希少価値が高い宝石である。

ウランでも同じ事。あれだけロシアとアメリカがウランの供給をコントロールできる立場にあるのだから。将来、ウランの供給をコントロール「出し惜しみ」すれば、ウランの値段は跳ね上がるだろう。なんとも石油をコントロールしている中東の国々に見えてくる。



日本の企業が「利益率が◯%」がどうのこうのって、せっせと原子力発電所を一生懸命作っているうちに、ある国はウランの粒をぱっぱと高値で売って大もうけ。さらに、日本の原発企業は今回に新潟の地震のように放射能洩れした場合、製造者責任が問われるが、ウラン・スーパーマーケットチェーンでウランを売っている人はそんな心配は無い。

もうすでに、再生可能なエネルギーは原子力エネルギーより安くなったきたを言われている。この先、ウランが高くなったら・・・価格だけ考えても再生可能なエネルギーに走っていた方がよかったかも。市場原理を掌握すると、技術でかんばるよる簡単に大もうけができる。

なんと無しに、トランプの「ババ抜き」で、最後の最後で大逆転カードを引いたと思ったら、ババを掴まされた気分なのは僕だけでしょうか。「ウラン」だけに、ゲームで負けて「怨ん」でもダメですよっと。お後がよろしいようで。

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*1:中国で原発4基建設、東芝グループが初参入 http://www.nikkeibp.co.jp/news/china07q3/540934/