ウェザー・インデックス(気象指数)保険の利点
マイクロファイナンスに公私混同の興味を持っているが、ちゃんとその仕事もしている。UNFCCC関連の仕事で、マイクロファイナンスをどう気候変動に対応する為に使うか考えている。
マイクロファイナンスは気候変動に対応するために大いに注目を集めている。その理由は:
1) 公的資金では足りなくなった気候変動適応策の資金を、保険という民間の資金からかまかなえる。
2) スケールアップが可能な対応策である。 マイクロファイナンスー>保険ー>再保険
3) 気候情報を保険のメカニズムに取り入れることが可能。
今回は3番目のトピックにズームイン朝!。
まず、気候情報を保険に取り入れるとはどういうことか発表します。
「天気に保険を掛けるんですよ」って冗談ですよ、って思いきや、本気と書いてマジなんですよ。
はじまりは「天候デリバティブ」といってスキー場などが、降雪具合に保険を掛け、スキー場の営業に影響が出るぐらいに降雪量が少ない場合、保険が支払われるしくみから始まりました。
それから、マイクロファイナンスが活躍する発展途上国の農業では「ウェザー・インデックス(気象指数)」又は「インデックス・ベース」といわれる保険が注目を集めています。「天候デリバティブ」との違いは、「ウェザー・インデックス」ではひとつのファクター(例えば降雪量)などにとらわれず、色々なファクターからなるインデックスで、保険を払うかどうかが決められます。例えば、農業では降雨量、気候、湿度、日照時間などから特定の作物に対してのインデックスを算出します。複雑な保険の気もしますが利点もたくさんあります。
1)モラル・ハザードがおこらない
これは、例えば、自動車保険に入ったら、事故を起こしても保険が払ってくれるので運転が荒くなることを示しています。もし、保険が農作物の収穫量によって払われるとすると、保険に入った農民は一生懸命働かなくなってしまうかもしれません。しかし、天候は農民がコントロールできる事ではないので、保険に入ってだらけて収穫料が減った場合も保険が支払われないかもしれません。だから、ウェザー・インデックス保険では「モラル・ハザード」がおこりません。
2)逆選択(adverse selection)がおこらない。
もし、保険を掛ける人が保険業者より正確の情報を持っていた場合、特定の人しか保険に加入しないことになる。例えば、農作物の収穫量によって払われるとして、農民が過去の経験から農業の成功率がわかっているとします。その場合、その農民は保険料と保険の支払い金とその確立で、自分が損するか得するか大体計算できることになります。その場合、保険に加入して得する農民ばかり入ります。別のいい方をしたら、農業の運営の下手な、「危ない農家」ばかりが保険に入ることになります。そうなった場合、保険会社(マイクロファイナンスの場合、NGO)は保険の支払いばかりで、すぐに倒産してしまいます。ウェザー・インデックス保険の場合、情報は広く知れ渡った、又は誰にも公平にわかりにくい情報なので、逆選択(adverse selection)といわれる、上に説明した状況にはなりません。
他にも、良いことはいろいろある。個別の農家の収穫量を個別に監視しなくてよい。天候は隠せない情報なので透明性がある。うまくいったウェザー・インデックスを、他のマイクロファイナンスに使うことができるかもしれない。などなど。
しかし、問題点もいろいろある。そこの所を上手くどうしたら良いか考えているわけですよ。
仕事をしているふりをして安心したので、自分もこれから「モラル・ハザード」。