人口増加と移民問題:「資源の限界」を「マイノリティー・ゲーム」から見る(ちょっとこじつけ注意)

今週末は、学術本の章の最終稿を作っていて終わってしまった。こういった事を平日やる時間がありません。自分の博士論文が元になっているので、久しぶりに引っ張ってきて読んでみて、「おもしろいことやってたんやな」と思いました。

4、5年前は命より大事な存在だった博士論文の内容を結構忘れていたが、読み返してみて以下の事を一部書いていたのを思い出しました。

  • 最良の策を発見したとしても、それをみんなが使い出したら、最良の策にはならないことがある。
  • 移り変わりの速い世界で過去の情報(文化)に縛られていたら、適応するのに遅れる。

これらが明らかな状況とは、株式とか交通渋滞の分野。誰かが株式で「絶対得する策」を見つけたとして、それが全世界に広まってみんながみんな同じ策で株を売り買いしたら、それは「絶対得する策」にはならない。「絶対得する」策とか情報とかみんなに信じ込ませて、自分は反対の行動を取るとしたら、一時的には自分には「絶対得する策」になるでしょうが。

この状況を「マイノリティー・ゲーム」といいます。少数者側にいた人が勝ちのゲームです。ゲーム論的には「ゼロ和ゲーム」に近いものがあります。株式はみんなが儲ける事が可能なので、「ゼロ和ゲーム」ではないですが、「マイノリティー・ゲーム」の状況ですし、「ゼロ和ゲーム」の側面は持っています。

昨今の移民や出生率の問題もこの手の側面があるかと思っています。


人口を増やすことは、国際的な影響力を保つ為に需要な事も分かるし、多少の移民を受け入れることは、生物的にの自然で価値がある事も知っている。それに、日本人の文化を固定することなどでないし、昔の考えに固着していては、日本は沈没していくだけだろう。

しかし、本当の論点はいかにGDPのレベルを保つかの話だろうと思う。マクロ経済学的に言えばGDPの要素で一番大きいのは普通”C”の消費。人が増えて、消費をすることは、マクロ経済学で言えば製造(Production)と同じなので、GDPの増大になる。経済学の発展モデルでも、人口は常に重要な要素である。

経済的な発展は「非ゼロ和ゲーム」ですし、マイノリティーな策をとったからといって、それが成功だとは限りません。しかし、世界経済は「マイノリティー・ゲーム」の様に資源の限界がある為、「最良の策」をみんなが使い出したら、「最良の策」にはならない側面があります。

すべの国が人口増加をGDPの増加の策にしていると、資源の枯渇となり、最終的にはそれが「最良の策」にならなくなります。


一般的なゲーム論のほうがうまくこの状況を説明できるのでしょうが、「マイノリティー・ゲーム」が懐かしかったので使わせていただきました。ガンダムスペースコロニーでのマクロ経済学の場合、資源の量が明確に分かっているので、「何が何でも人口を増やせ」とか「何が何でも消費をしろ」などならないでしょう。地球も本来同じ状況なのですが、ローマ・クラブ*1が資源の枯渇による「成長の限界」の予測を常に失敗している事からも、「資源の量が明確」ないのが「マクロの大きな問題」であるといえます。


自分の移民と人口増加のメモ

だって、資源が無限に存在することを想定している経済学の発展モデルはいつか限界が来るでしょう。さもなくば、焼き畑農業の様に、地球の自然環境を使い切って、スペースコロニーに住むか、他の星に住むでしょうね。

2005年にポーランドEUに加盟したが、多くの国はポーランドからの大量移民のおそれ彼らに門を開けなかった。ビザ無しでポーランド人に労働する権利をあたえたある程度の労働市場がある国は英国だけ。結果的に、英国には政府が予想するより3倍のポーランド人が押し寄せた。今年行われた調査によると、英国で働いているポーランド人のほとんどが国に帰るつもりはないそうだ。結果的に、ポーランドでは多くの技術者を失うことになった。

「サプライズな因果関係」は例えば「新興国の食料需要」。「人口爆発」や「新興国の経済の急成長」などは言われていましたが、それにつながる「新興国の食料需要」はそれ程まで言われていませんでした。とりあえず、それがいつ起こるかの「公式」はなく、予測不可能だったでしょう。

発展途上国のバイオエナジー現状は薪や動物のフンを使った原始的であまりクリーンでない物。これらの原始的な燃料で生活している人は25億人。これは約半数の発展途上国の人口と考えられます

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グローバリゼーションと これら四つの要素(労働者組合の保護、人権保護、環境保護、企業の社会的責任(←コーポレートガバナンス))は、元来、対立軸しとて「当り前」のものだったのだ。
そして、この二つの対立軸が対立しながら機能することは、全くナンセンスでは無かったのだ!!!民主主義と市場主義の世の中では極めて有効なのだ。

日本は、第一次オイルショック後の75年に出生率が2人を下回って以来、人口再生の水準を回復していない。先進国の中で最も早く高齢化、少子化が進みつつある。しかし、マイナス面ばかり考えていても仕方がない。新たな変化をアドバンテージとすべきである。最初に経験するということは、最も早くそれに応じた、商品やサービス、施設や街の作り方、社会制度のモデルを構築できるわけで、それ自体も一つの競争力となり得るはずだ。

それでは第3の道は何か。それは、「持続可能性」の道である。限られた地球を全体に、資源・エネルギーを地球という閉じた空間の中で上手に持続的に使って行こうとする「持続可能型社会」の道である。

*1:今のバリトン・クラブ