アフリカのバイオエナジー(バイオ燃料)事情

10月に日本に行くまでに終わらせなくてはいけない小さいけど大事なプロジェクトの一つが「エチオピアのバイオエナジーバイオ燃料)に関する経済的選択調査」。このプロジェクトに興味があるオックスフォードの修士生を見つけたので、現地調査は楽になるが、データ解析は僕がチームの指揮を取らなくてはいけない。他の大きなEUプロジェクトに押されて、机の隅に追いやられいましたが、やっと手をつけた。


そこで「頭の体操」とゆうか、錆びついた頭をバイオ燃料化して、熱くプロジェクトに突進する為に、ちょっと背景をまとめてみました。


バイオエナジーというとほとんどの人が「とうもろこしなどを使った、クリーンな燃料」とか、「投資家が将来のバイオエナジーの需要を見越して穀物に先行投資している」などなど、思い浮かべると思います。しかし、発展途上国のバイオエナジー現状は薪や動物のフンを使った原始的であまりクリーンでない物。これらの原始的な燃料で生活している人は25億人。これは約半数の発展途上国の人口と考えられます*1

これらの原始的な燃料からクリーンは燃料に移行していこうと国連やドイツのGTZなどがプロジェクトをアフリカなどで行っています。この一つの考え方で「エネルギーの階梯(Energy ladder)」があります。



この図のとおり原始的燃料からクリーンな燃料に向かう過程で、その中間的なケロシンや、チャコールの需要が出てくると考えてられています。タンザニアウガンダザンビアの都市部ではこれらの燃料がエナジー消費の半分以上をしめています*2。次のクリーンな燃料への移行プロジェクトも成果を上げている物もあります。例えばシェルから援助を受けて立ち上げたエチオピアのProject Gaia。かれらは成功に気を良くして、CDMなどにつなげて更なる発展を計画しています。


この原始的な燃料からクリーンは燃料に移行よって得られる利点はたくさんあります。例えば:

  1. 森林伐採の削減。
  2. 気候変動・温暖化への対策。
  3. 屋内の空気汚染の削減。


1)アフリカ40国による統計的調査でクリーンエナジーの使用が森林伐採の削減に貢献していると言う結果出ている*3


2)薪の仕様を減し、森を増やせたら、森の二酸化炭素吸収を促進させる。そして、クリーンは燃料とは二酸化炭素の排出量が少ないことも意味している。


3)これが一番短期的に目に見える効果だとおもう。原始的な燃料は多くのダイオキシンやなどの危険な煙を出す。たとえがガスストーブがだす汚染物質は原始的な燃料のストーブに比べて50分の1と言われている*4


これらの利点がありながら、クリーンな燃料への転換が難しい。インフラの整備が整っていないので単に現実的なオプションでないとか、文化的なバリアがあったりとか色々問題がある。その中で特に大きい問題はコストが違いすぎるからである。といっても、実は見た目だけの「金銭的」なコスト。森から取れる燃料は、田舎に住んでいたら自分の労力だけの手に入る。しかし、一日に10キロ以上歩き回り、何時間もかかって燃料をあつめなくていはいけないのは相当なコストだ。


と、いったところで、「エチオピアのバイオエナジーバイオ燃料)に関する経済的選択調査」は大いに意味があることだと再確認。さて、本腰を入れてこのプロジェクトに取りカカロット

*1:IEA2006. Energy for cooking in developing countries. World Energy Outlook 2006. EA: Paris, France. 419?445. URL http://www.iea.org//textbase/weo/cooking.pdf.

*2:都市部以外では原始的な燃料が主要なエナジーです

*3:Tole, L., 1998.Sources of deforestation in tropical developing countries. Environmental Management,22(1). 19?33.

*4:Smith,K. R. et al., 2000b. Indoor Air Pollution in Developing Countries and Acute Lower Respiratory Infections in Children. Thorax, 55. 518?532.