「万能薬など無い」を、ネパールのプロジェクトで実感

UNFCCCがらみのプロジェクトでネパールのマイクロファイナンスをいまちょっと見ています。

先日書いたが*1、今までも保険の問題点を解決してきたので、今のマイクロファイナンスは「気候インデックス」がはやりだと思う。そんなもんだで、今回も気候インデックス・ベースの保険を初めに考えたが、いきなりネパールの方にダメ出しをもらう。彼らは、今までの古典的な保険のプロジェクトにこだわりたいらしい。


元クラスメートで、今は頼もしいSEIの助っ人アントンに昼飯どきに少し相談。なるほど、一発解答でした。

 *ネパールの気候災害は今まで僕が取り扱っていた、干魃よりも、洪水の被害が大きい

 *そして、洪水では被害は作物よりも、家や土地の土砂崩れの方がおおきい。

この状態では、古典的なダメージをベースにした保険の方が好ましいといえる。それは、洪水の被害は天候の被害というより、水の集中度で決まるからだ。すなわち、干魃のように村全体が均等に水不足になるわけでなく、洪水は家々で被害がすごく異なる。最近のオックスフォードの大洪水でも、これは経験した。道路を挟んで床上浸水した家と、そうでない家がとなりにあったりした。洪水の最終的な被害は水がどちらに流れたかできまったのでR。

この様な状態では、気候インデックスの保険は効率が悪いのでR(もう止めます)。例えば、今回のオックスフォードの洪水で、僕はまったく被害を受けなかったが、もし家の保険が気候インデックス・ベースだったら、僕も保険料をもらっていたことになる。それはそれで、ラッキーなのだが、これでは気候インデックス・ベースの保険の良い所を相殺するぐらい、損をしてしまうだろう。


良く話を聞いてみたら、古典的な保険にも、新しい試みがある。保険を個人でなく、コミュニティーにかける事にする。それにより、村人がお互いを監視管理することにより、監視費用とモラルハザードを抑えるらしい。


「全ての事に聞く万能薬など無い」が、僕の人生のモットーの一つだが、今日はそれをしみじみと味わいました。やわらか頭でいたいですね。

*1:「ウェザー・インデックス(気象指数)保険の利点」http://d.hatena.ne.jp/euro-envi/20070801