英国の洪水と、保険業協会でのインタビュー

昨日、予告した通り、今日はイギリス保険業協会に気候変動に関してのインタビューをした。オックスフォードが洪水で大被害にあっていることを思うと、何ともタイムリーな仕事だ。本来僕の担当の仕事ではなかったが、気候変動とファイナンス保険業に興味があったので参加させてもらった。結果的に自分の知っているエリアだったので、プロジェクトパートナーにも役に立ったと思う。

まず朝オックスフォードで、EUへの報告書と今回のインタビューの打ち合わせをした。寒いが(この時点で本来おかしいのだが)天気は悪くなく、オックスフォードが洪水にあっているとは思えません。

オックスフォードにいない人は、ニュースでオックスフォード全体が凄いことになっていると思っているかもしれないが、そんなことはない。マスコミの「恐怖を売る」戦略のためか、現実の状況が届いていないのではないかと思う。実際、僕が住んでいる所も、町の中心部も何の問題もない。今日インタビューや移動の間でテレビのニュースを見たが、あれを見たら世界中の人がオックスフォードが水に沈んでしまうのではないかと勘違いしそうだ。

と、いっても、川の流れがすさまじく、実際に被害にあいそうな人達もみじかにいる。3人の同僚は今も、洪水で床上浸水しないかひやひやしていると思う。そのひとりが今朝の打ち合わせに参加したが、結構参っている感じだった。彼女は洪水のピークは昨日過ぎたとおもったので、土嚢をどけてしまったらしい。しかし、また水位が上昇しだしたとのこと。水位が上がるのは、「オックスフォードの雨」でなく「いつかに降った上流の雨」のせいなので、本当のピークの予測は大変そうだ。今も黒い雲が立ちこめていて、明日また雨が降りそうなので、洪水の被害が広がらないか心配である。


前置きが長くなったが、昼近くになってロンドンのイギリス保険業協会にいざ出陣!インタビューなのでいつもの事ながら、ワイシャツにジャケットで、偽ジェームス・ボンドに変身。下手な英語とイギリスのブラック・ジョークを操って、誰と話しても恐いものなし。「殺し文句のライセンスを持つ男」。



もちろん、軽快なフットワークで、インタビューをした。一番気になったインタビューの結果は:

「何故、英国の洪水保険が他の国よりも、気候変動(地球温暖化)に」積極的なのか」



他の国の保険業協会に話を聞いていないので、100%彼女の話をうのみにはできないが、英国の保険業協会は他のヨーロッパの保険業協会に比べて、 気候変動を積極的に洪水保険のリスクに採り入れようとしているとのこと。そして、彼らは他のヨーロッパの保険業協会に「もっと、真剣に気候変動を考えなさい」と口をすっぱくしていっているらしい。

英国の洪水保険は他のヨーロッパの洪水保険とおおきく違いことがある。英国は90%の住宅が民間の保険でカバーされている。しかし、他の国では、洪水による被害は民間の保険でななく、国の税金などでカバーされている。民間の保険業は現実のリスクに、公的な保険政策より、柔軟に素早く対応していることになる。

そこで、問題です。この場合、公的保険政策を使って良い理由は何でしょう。


一般的には、民間は短期に利益にとらわれて、政府などは物事を長く見ることができると思われているのでないだろうか。その為、気候変動(地球温暖化)などの数十年、数百年といった、長いスパンの事柄は政府が指導したほうが良いとされている。しかし、このように公的制度が民間の対策に遅れている場合、公的制度が有利なことは何であろう。

オランダなどの様に、国のほとんどが海面下にある場合、社会制度のいっかんで、貧しい人にも保証を与えられる点で良いのかの知れない。イギリスでも実際に洪水のリスクが高すぎて、保険料が高すぎる事がある。さらに、これらの洪水が起こりそうな地域は家が安く、貧しい人達が多く住んでいる。

つまるところ、平等の為の政策。

しかし、気候変動の考慮が遅れれば、全ての人が被害を受けることになる。別のいいかたをしたら、「平等」にみんな被害受ける。こんな事で良いのでしょうか。

短期的な考えだが、明日の雨が降らないことを、今はのぞむ。

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