中越沖地震・柏崎刈羽原発の問題と経路依存な意志決定

何日も前から、同僚のアナさんから「日本はすごいことになっているね」と、言われている。「確かに、でも地震は日本ではよくある災害だよ」っと、最初は言っていた。でも、それが自然災害だけの問題ではないことにすぐに気づいた。新潟県中越沖地震柏崎刈羽原発の問題だ。

いつもはそれほどブログの検索をしないが、せっかく自分もブログ*1を開設しているので、他の方々が何を書いているのか見てみた。パッパッパッパッパッ、一発マンと読んでみて、原子力にすごく反対の人*2原子力に賛成な人*3、そして、中間の異見な人*4といろいろいました。環境の仕事、特に気候変動(地球温暖化)の仕事をしていることもあり、原子力の良い部分も悪い部分の話を聞く。しかし、一般的に原子力に反対の人がほとんどだと思っていた。ブログの検索も勉強になりますね。


世界的に見て、日本はかなり原発に突き進んだ国だと思う。何故こうなったのだろう。エネルギー資源の枯渇問題は、遅かれ早かれどの国でも直面する問題である。安全面なども考えて、再生可能なエネルギーに向かっている国も多い。色々な方面からを理由を解析することができる。一番最初に思いついたのが「最適化された意志決定がされたわけではなく、経路依存(Path-dependent)な意志決定がされた」。

これでは、良く意味が通じないので、自分でも「自分のいいたいことを」噛み砕きながら書いてみよう。

環境の世界だけでなくどの研究分野、実社会の話しでも完璧で、最適で、最良な意志決定を下すことはむずかしい。不可能といってもよい。それは、いろいろ世の中の不確定なことが多いからだ*5

例えば、今自動車といえばガソリンやディーゼルエンジンで走ると、みんな思っている。しかし、100年前は電気自動車と内燃気自動車の普及率が半々だった。それが今、電気自動車など全然見ない。技術的には不可能ではないし、効率の面でも、環境の面でも電気自動車の方が良い。ある意味「本当の最適解は」内燃気自動車でなく、電気自動車だ。しかし、ガソリンスタンドなどのインフラの整備が経路依存(Path-dependent)になり、いま自動車を作るとなると電気自動車は不利となる。

これは原子力でもいえるのではないだろうか。その昔、資源の乏しい日本で原子力発電が解答と出て、その延長で今がある。例えば、原子力発電が一度意思決定として採択されると、当然に投資もこの分野に集まる。研究が進めば、さらに原子力発電が作られる、そして研究の要望が増える。どこかで、他の再生可能なエネルギーの可能性を検討したにしても、今までの経路依存で技術的に原子力が一歩進んでいる。

ある意味、最適解など経路依存の上に成り立っている、局地的な最適解に過ぎない。



他にも、官民の共同のエネルギー政策の結果、関係者には原子力が一番と出たのかもしれない。また、80年代からの供給重視方のエネルギー政策で、重要の対策に遅れがでたからかもしれない。日本は十分節約型の経済だったか、今の日本よりエネルギー効率がいい国もある。原子力でなく、再生可能なエネルギーで供給できるレベルのエネルギーでどう需要をコントロールするか考えるべきだったのかもしれない。

最後に最近読んだ雑誌(Strategy+business)の記事(The world's urban infrastructure needs $40 trillion makeover)に、「なぜインフラ・プロジェクトは失敗するか」の理由が書いてあったので紹介しておく。なんだか、日本の発電所が計画される様子が浮かんできます。

  • 一番水道、電気、交通のインフラ整備で影響を受ける人は、建設を決定する権力を持っていない。
  • 建設に承認を与える人はこれらのインフラを一番使う人ではない。
  • このインフラを使う人は、一番多くの費用を払う人ではない。だから、インフラの資源が賢く使われない。
  • 費用を払う人(納税者)は、このインフラから必ずしも利益を得るとは限らない。
  • 一番インフラ・プロジェクトにかかった費用から利益を得る人は、時として、どうプロジェクトが計画されて開発されるか決める発言力を持ちすぎている。

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*1:と、いうよりただの日記ですが。

*2:例えば、「[災害][社会] 明らかになった地震国日本における原発の危険性」 http://d.hatena.ne.jp/TomCat/20070720#p2

*3:例えば、「原子力発電所をつくれる技術をもっている会社は日立、東芝、三菱の三社。」 http://blog.goo.ne.jp/2005tora/e/75d6225cb1b34fb14462fca584fa72ec

*4:例えば、「日本は原子力をどうしたいのだろうか」 http://ohnishi.livedoor.biz/archives/50328449.html

*5:「地球科学の数値モデルの証明、検証、および確認」http://d.hatena.ne.jp/euro-envi/20070413