ベースライン・マネージメントは気候変動の適応策つかえるか

今日はADAM(ADaptation And Mitigation Strategies: Supporting European climate policy)プロジェクト会議をオフィス内でした。このプロジェクトは一番お気に入りのプロジェクトになっている。最終的にはEUの気候変動の政策に使われる事を前提としてプロジェクトがすすめらている。前にも似たようなプロジェクトがあり、その時は最終的にEUの政策に使われることはなかったらしい。その反省をいかして、このプロジェクトではEUの政策担当者が、積極的にプロジェクトの会議に参加している。大体30ぐらいの大学と研究所がこのプロジェクトに参加してる。他のEUからのプロジェクトでもこの様な事は経験したことがないので、EUは気候変動、特にこのプロジェクトに気合いが入っているなと思う。

SEIの担当は主に気候変動の適応策(Adaptation)。特に僕等は色々なセクターごとの適応策を調べている。もともと「ビジネスと環境」に興味を持っていたので色々楽しんでいる。だから、ADAMの仕事をする日はスキップしながら、オフィスに行っているのはウソだが、コサックダンスを踊っても良いぐらい好きだ。

研究以外にも、僕はこのプロジェクトをSEI内で僕がマネージしている。他にも管理しているプロジェクトもあるし、この手の事はもともと好きだったので、うまくやれていると思うが、当初はなかなか難しかった。SEI内の他のメンバーがみんな僕より年上なので、最初のころは下っ端の僕が色々指揮するのは気が引けた。あれから、1年半近く立って、シニヤのメンバーからも認められきたと思うと、自分を洗脳。

今日の会議をちゃちゃちゃっとまとめたら、思いのほか次の会議までに時間が空いてしまったので、ちょっと別の話をした。ベースライン・マネージメントを気候変動の適応策で使えるかどうかの議論。ベースライン・マネージメントでは「基準レベル」を決めて、そこからどれだけ、何が変化したかでプロジェクトを評価する方法だ。逆のいい方をすれば、もし、スタートラインがわからなければ、何がどれだけ変化したのか評価すのは不可能である。この「基準レベル」常に変化していくので、それをきちんとドキュメント化しておくことが大事である。

ある人はベースライン・マネージメントは適応策には使えないだろうと。彼曰く、気候変動では今まで存在しなかった問題が出てくるので、もともと「基準レベル」が存在しないというのだ。例えば、気候変動で台風の頻度が上がれば上がった分が、「基準レベル」からの変化だ。しかし、気候変動でマラリアが英国に入ってくるようになった場合、もともとの基準が無い為、「基準レベル」は存在しないというのだ。


その時はそのままオフィスを出たが、スケボーで思いっきりカービングをしながら、もう一度ベースライン・マネージメントと適応策の事を考えた。

  1. マラリアが存在しないのは、それはそれで「基準レベル」ではなかろうか。
  2. 人間界が事前に計画する適応策で、気候変動(特に温暖化)により、マラリアが存在しうる可能性がわかっていたら、「基準レベル」として成り立つのでないか。そして、その変化を予測するのは意義があるのではないか。
  3. 存在しないことを確認することは、「基準レベル」がゼロと定めることである。ゼロレベルでない他の問題点の「基準レベル」を観測することの方が難しいはずである。
  4. つまり、現在存在しない、将来の問題点にもベースライン・マネージメントはつかえる。と、いうかこの方が効率よく使えるかもしれない。
  5. しかし、もし、マラリア以外の熱帯性の病気で研究者のレーダーに写っていなかったら、その時は「基準レベル」がないことになる。


結論として、いつもの事ながら、適材適所で分析ツールを使う必要があるとのこと。どのツールも得手不得手がある。でも、気候変動では費用便益分析(CBA)よりは役にたちそう。