EUカーボン・トレーディングは、ただのビジネスか?

今日は修士の時からの友人、グラムが博士課程の口頭試験を受かったので、早めにオフィスを抜け出した。彼は、修士の時から一番成績が良かったが、博士過程にすぐに進まなかったのと、完全主義者だったため、僕より数年遅れで博士になった。とにかくおめでとう。

彼は炭素市場というか、二酸化炭素の売り買いをするコンサルタントで働きだした。EUでカーボン・トレーディングは熱を帯びてきている。似たようなコンサルタントが、今年はかなりアグレッシブに修士の生徒をオックスフォードでリクルートしている。2005年から始まった、EUカーボン・トレーディングの第一段階はかなり批判を浴びたが、始めたことには意味があるだろう。日本はかなり経済界の反発がありできなさそうだ。

EUの第一段階の批判は、市場の割り当て量が多すぎたため、二酸化炭素の本質的な削減をあまり助けていないからだ。これはトレードなので、全体の割り当て量が多いと、二酸化炭素がある組織から別の組織に移るだけで、二酸化炭素は減らない。例えば、もし全体の割り当て量が少ないならば、需要と供給のバランス *1で、ひとつの排出枠の二酸化炭素の値段が上がってしまう。そうなると、「新たに排出枠を買うよりは、設備投資をして、二酸化炭素を削減するか」と、なる(はずである)。

さらに、マーケットのメカニズム(競争)が効かないので、効率のよい組織が二酸化炭素を排出して、より多くの物を生産したりすることもない。経済の発展が早い所なら、割り当て量がたりなくなり、市場の法則も効いてくるだろうが、EUの様な成熟した地域で、2年の枠組ではあまり成果はでていない。

さらに、さらに、カーボン・トレードのコンサルタントが繁盛している所を見ると、そこらに多くのお金が流れていることになる。つまり、取り引き費用がかなり高い訳だ。取り引き費用があっても結果がでていれば文句はいわない。しかし、今のままではカーボン・トレードが、だたのビジネスになってしまう。これは良くない。EUの第二段階では、割り当て枠が減らされると思うので、もっと大きな期待ができると思う。

今日博士になった天才グラムは、カーボン・トレードのコンサルタントでガンガン稼ぎそうだが、それで世界が平和になればよし。たまーに自分も道を間違えたかと思うことがあるが、この穏やかーなオックスフォードの生活を捨てて、ロンドンのコンサルタントになるはやっぱり御免だ。ちゃんちゃん。

*1:買う人が売る人より多くなるので、物の値段が上がる。