数字の不思議:中国の温室効果ガス排出削減目標が増加する?

中国が温室効果ガス排出の削減目標を出したらしい。
フジサンケイ ビジネスアイ 初の温暖化防止計画 中国、まず経済発展 「責任は先進国負う」

≪省エネで9.5億トン削減≫

 国家計画は、温暖化がもたらす中国への影響の評価を基に2010年までの総合的な対策を盛り込み、(1)国内総生産(GDP)1万元当たりのエネルギー消費量を20%削減(2)再生可能エネルギー(大型水力発電を含む)の比率を10%前後に引き上げる−などの目標を設定した。


しかし、これにはトリックがある。「エネルギー消費量を20%削減する」といっても、それが「国内総生産(GDP)1万元当たり」であることを見逃してはいけない。つまり、実際ににエネルギー消費量が減るかどうかは、中国の成長率に関わってくる。

中国の経済は今も10%程度、毎年成長している*1

簡単に、2010年の中国のエネルギー消費量の、削減予測をしてみるとする:

  • 毎年10%の経済成長を、今後3年間するので、2010年には今と比べて経済は33.1%増加していることになる(110%の三乗)。
  • そして、その中の20%のエネルギーが削減されるので、残りの80%が2010年の中国のエネルギー消費量の変化である。

133.1%かける0.8は・・・・・ 106.48%である。



つまり、実は実際のエネルギのーの消費分は、6.5%程増えてしまうことになる。


今現在、中国の再生可能エネルギーの比率は7%らしいので*2、比率を10%に引き上げても、まだ中国の温室効果ガス排出は3.5%程増加する計算になる(6.5%引く3%)。

ニュースの文章に引っかかりがあったので、簡単に計算した次第だが、結果にちょっと驚いた。この計画では今のレベルから温暖化ガスの削減にはならない。なにもしない(business as usual)よりは削減するといった具合か。


中国が温暖化ガスの削減目標を出したことには、評価すべきであろう。しかし、見た目のいい数字より、もっと積極的な政策を期待したい。

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