環境問題を扱う経済学の復習
環境学、特に社会科学系の環境学では、経済学が幅をきかせている。自分も学位までは経済学を専攻していたので、その理由はよくわかる。経済学にも色々あるが、新古典派経済学(neo-classical econmics)が幅を効かせているので、その点で書いてみよう。
確か、かの「超勉強法」で有名な野口教授は経済学は以下の点で有利だと述べていたと思う。
- 経済学の数式を使った論理的な説明には、他の社会科学は太刀打できない。
- 数学者が複雑な数式で攻めてきたら、社会学的な経済理論で太刀打できる。
実際のところもっとひどく、 他の社会科学は理論点でも経済学に太刀打できない。特にイギリスの社会学は理論によわい。例えば、スーパーマーケットを研究している学者は、スーパーマーケット理論を作るが、それを社会学理論をするすべをもたいない。
なんで、こんなことを書いているかと言うと、「気候変動の経済学」という事が、あるひとつの本のせいで、今盛んに議論されている。この事を書く前に、経済学をちょっと復習してみようと思ったからだ。
新古典派経済学が優れた部分があるのは確かだが、現実的な環境問題を解決できるかといったら、それはそれで問題がある。細かいことをいったらきりがないのが、僕は根本的には下記の二点で経済学が非難をあべているとおもう。
- 道具論(instrumentalism)
経済学は道具としての予測力に焦点を合わせいる。その代償として、現実問題との検証性(validation)をあまり心配しない*1。この理由で、仮定(as-if)を多く使用する傾向があります。結果、経済モデルが現実が隔離されてしまうことになりやすい。この事はノーベル受賞の経済学者のFriedman氏も述べています*2。
- 強い先天主義(apriorism)
新古典派経済学では、いくつかの前提に関して決して疑問を問いかけません。一番の例は「人間は完全に合理性に物事を判断する」と言ったことです。最近の行動経済学は「完全に合理性」に疑問を問いかけていますが、将来的にこれが変わるようには思えません。
経済学が幅を効かしている現状を考えると、経済学自体を否定してしまうよりは、これらの問題点があることをわきまえて、環境問題を扱う経済モデルを見てみた方がよいと思います。
ここで謎かけをひとつ!
新古典派経済学と掛けて、パワーポイントと使ったプレゼンと解く。
その心は・・・・
どちらも、おそろしく普及している。多くの人がどちらも批判をしているが、代用品もいまいちなんだよね。
おあとがよろしいようで・・・
そのうち、「気候変動の経済学」を書いて見たいと思います。
*1:validationに関しては過去に書いています。http://d.hatena.ne.jp/euro-envi/20070413
*2:The Methodology of Positive Economics http://www.lib.pku.edu.cn/webcourse/new_econ/readings/Methodology.pdf