些細なことが社会に安定を与える(日本語版)

ナフィールド・カレッジで、2005年に経済学でノーベル賞を取ったトーマス・シェリング教授のセミナーに出席しました。

人間の行動学としてのマイクロ経済学が昔から好きですし、私のオックスフォードでの博士の一部は、マイクロ行動がマクロレベルの現象をどう作るか研究のエージェントベースのモデルでだったので、彼の講演に出席するのを本当に楽しみにしていました。

彼が既に説明した多くの概念は既に知っていましたが、彼のジェットコースターの様な講演を本当に楽しみました。 彼の話はあっちに行ったりこっちに行ったりで、彼と彼の友人が米国で互いを見つける方法を全く同じように見つける冗談めいた話で終わりました。

ジェットコースターの通過した話は「隔離」、「臨界質量(クリティカル・マス)」、「テッピング・ポイント」で、これらの話は私の研究話題がでも良く出てくる話題です。その間に「メカニックス」や「メカニズム・デザイン」のキーワードに何度か帰ってきました。これらのフレーズはどちらかというと彼の2005年のノーベル賞の話よりは、昨年のノーベル経済学賞に関連する話題であると思います。

彼が言っていた「メカニックス」とは「小さく、簡単な規則がどうやって社会に安定した状況を作る」という
話でした。

「クリティカル・マス」では、例えば、彼はハーバード・ビジネススクール(HBS)の女子学生に関する話を使用しました。 HBSはおよそ40年前の女性学生をはじめて受け入れました。その時、300人の総学生数中、およそ8人だけの女子学生だけが登録しました。 彼らには、もちろんこの状況は快適ではありません。そして、ある女子生徒は登校してきませんでした。そこで、HBSは、簡単な方針で「クリティカル・マス」を作成しようとしました。

「もし女子学生の数が50未満であるなら、彼らなどんな授業料も支払う必要はありません。そして、さらに何らかの資金援助などを与えます。」

これは非常に寛大に思えますが、実はそんなことはありません。HBSがこの方針のために実際には一円も支払う必要はなかったからです。

翌年、75人の女子学生がHBSに登録しました。シェリング教授は、ビジネス・スクールが「社会に安定性を作るようなメカニックスを設計した」と言いました。

彼のメッセージは他の例の「人種差別」や「コーディネート」などでも一貫していました。 社会は人々がが願っているより分離して、乱雑にしています。それは個人の動機によります。
例えば、自分と似たような奴と付き合おうを思う行動が、社会レベルでは「隔離」につながるのです。 そして、小さくて簡単な規則は社会に安定性を作る


僕はこの考えが昔から好きだったし、これからも好きであり続けると思います。

環境運動家は「より多くの規則を必要とである」とか「奴らを罰するために法を必要とである」とよく言います。ひどく設計された規則と法は社会に負担になり、別の問題を生じさせるので、避けることができるなら、私たちはトップダウン規則を作るべきではありません。 比べて、教授が「メカニズム・デザイン」と説明した、良く設計された方針は、簡単で、社会にあまりコストがかからず、しかし、社会で安定性を作成するでしょう。

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以上が昨日約束した昨日のブログの日本語訳です。なんだかかなりかしこまった感じになってしまいました。

複雑系とエージェントベースのモデルの自分のメモ

仮りに「見えない悪い動き」といった事が本当だとしたら、投資もこのように人が「感じない情報」知ることができる人が一儲けできるのだろう。開発問題でも同じ。潜在的な問題をかいけつできる人達が国を引っ張っていけたらって、書いていたら、これこそ話が複雑系ですね。日本のリーダはどうなんでしょう。

この状況を「マイノリティー・ゲーム」といいます。少数者側にいた人が勝ちのゲームです。ゲーム論的には「ゼロ和ゲーム」に近いものがあります。株式はみんなが儲ける事が可能なので、「ゼロ和ゲーム」ではないですが、「マイノリティー・ゲーム」の状況ですし、「ゼロ和ゲーム」の側面は持っています。

昨今の移民や出生率の問題もこの手の側面があるかと思っています。

全部入りの複雑系シュミレーションをしたからといって、オープン・システムの現実を予測できるようにはならない。実社会は無限大のインプットあるからオープン・システムなわけで、全部入れる事は不可能。仮にほとんど入れたとしても、データは必ず観測と本当の現実の誤差を含んでいる。

とにかく初めに、やろうとしているモデルやシュミレーションが役にたちそうかどうか考えてみた。以前にも書いたが*1、現実社会は「オープン」なシステムである。「オープン」とは、ひとつの事を説明するにも、数え切れない数の要素が関わっていることをしめす。気候変動・地球温暖化のモデルはいい例だ。