気候変動(温暖化)に緩和策に必要な資金の総額は?

僕らの研究所も気候変動に関するファイナンスを書いたが、ハーバード大学ケネディースクールも似たような、ポリシーブリーフを出した。


http://belfercenter.ksg.harvard.edu/files/HPICA_Issue_Brief_2_FINAL.pdf

読んでのまとめと感想と個人的な意見です。


現状の気候変動の緩和策(二酸化炭素の削減)と適応策への金銭的な資金の流れは:

  • Clean Devellopment

Mechanism(CDM)から集まった資金は累計64億ドル。そして、二次的なCDMに関する投資まで含めると累計330億ドル。

  • 国際機関や二国間のODAが二番目に多きい資金の流れで、一番大きいのはGlobal Environmental Facility

(GEF)もので1991年から総額33億ドル投資している。それにあわせて投入された民間資金は累計144億ドル。

  • その他にも、二国間のファンドや、UNFCCCのSpecial Climate Change Fund for financing

capacity-building and adaptation、 the Least Developed Countries
Fund、the Adaptation Fundなどがある。


これを多く見るかどうか?僕は全然少ないと思います。特に、この分で適応策に使われる部分はかなり少量です。


OECDにかかわりの強い国際エネルギー機関 (IEA:International Energy
Agency)によると、気候変動を2050年までに安定化させるには、10兆3千億ドルがOECD以外の国から、7兆3千億ドルがOECDから必要。最悪、27兆ドルが必要ともいわれている。


UNFCCCによると、気候変動の予算は、2030年までに、全世界のGDPの0.3から0.5%に達するといっています。2007年の全世界のGDPは53兆ドルです。
http://www.iti.or.jp/macrostat.htm
GDPの伸び率を考えなくても、平均すると年間2千億ドルのお金が気候変動関連で流れるとしています。これは、円高のいまでさせ、17兆円を超える金額です。


つまり、公的資金でやっていける金額ではありません。


CDMはいろいろ言われますが、それでも民間投資を集めるのには成功しています。それでも、目標値や予測値との差は壮大です。


ハーバードのレポートでは公的資金が呼び水になって、どれだけ、民間資金を集めることができるかが焦点になると書いてあるが、つまり、公的資金も多く必要になってきますよね。9月にロンドンで訪れた、CarbonTrust社経由で公的資金が民間資金を集める呼び水として使われている。よくやっていると思うが、レバレッジは10倍。つまり、1兆7千億円公的資金を入れると、17兆円の民間投資がついてい来る。

だんだん、額が多くなってきていますね。だから、冒頭では現在の投資金額はすくないですよといったのです。


それから、大事なことに、この数字は適応策については全然書かれていません。よく忘れられてしまう数字です。今度はこれについて書いてみます。