エチオピアのマイクロインシュランスの「問題点」と「興味深かったこと」

公開セミナー: アフリカにおけるソーシャルエコノミー(社会的経済)

2009年11月25日 午後15:00 から18:00 (日本時間)

国際労働機関(ILO) 駐日事務所と世界銀行東京開発ラーニングセンター(TDLC)は2009年11月25日、アフリカにおけるソーシャルエコノミー(社会的経済)に関する公開セミナーを共催します。東京会場はTDLC、ビデオ接続先はアディスアベバです。ソーシャルエコノミー(社会的経済)は経済的ニーズおよび社会的目的双方の拡充を目指すものです。

セミナーでは、アディスアベバからILOアフリカ総局次長・ユルゲン・シュベットマン氏が、協同組合、マイクロファイナンス、マイクロインシュランスなどアフリカにおける社会的経済の促進及び拡大に向けた取り組み、そして2009年10月に南アフリカで行われた国際会議
“社会的経済: 世界危機に対するアフリカの対応”の成果を報告します。またILOアディスアベバ事務所社会的金融専門家・ジュディス・ヴァン・ドールンが、「アフリカにおけるディーセント・ワーク実現のためのマイクロファイナンス」についてプレゼンテーションを行います。引き続きアフリカ・日本、そしてアジアにおける社会的経済について、アディスアベバと日本の専門家たちによるパネル討論を予定しています。

エチオピアのマイクロインシュランス関係のフォーラムがあるようです。

丁度、エチオピアのマイクロインシュランスの章を書いているので、少しをまとめて見ます。


エチオピア貧困層を助ける仕組みでマイクロファイナンスは早くから使われてきた。IDDRIといわれる、葬式の資金をプールする仕組みは以前からあったので、途上国だからといって、金融が無かったということはない。正式なマイクロファイナンスのプログラムとして、1994頃からエチオピア政府は貧困層向けに負債を100%カバーする制度を始めたが、これはやはり貧困層が借金を踏み倒す要因になってしまうので、廃止された。その為に、資産をもたいない貧困層は連帯保証制度に頼るしかなく、エチオピアマイクロファイナンスはグループで借金をする仕組みがほとんどである。マイクロインシュランス(小規模保険)はマイクロファイナンスのインフラや仕組みを通常使われるので、ここがベースとなる。

その村人にどの様な保険が必要かといった調査が以前行われた。調査対象となった村人によると、一番の問題点は農作物は食料である。その為、一番必要とされた保険はやはり、農業関係の保険であった。健康などへ関しての保険のニーズがあるだろうが、十分は食料がないことが健康を害することに繋がっているので、これは当然といえば当然だろう。

今現在、農業の保険の仕組みで一番良いとされているのは、Weather Index based
Insurance。つまり、ある気候のインデックスによってペイオフがされる仕組みである。この仕組みについてはちょろっと以前に書いた。http://d.hatena.ne.jp/euro-envi/20091002
 もう少し、詳しく今度書いてみよう。


気候インデックス保険のインデックスを作るには、30年ほどの気候データーが必要とされているが、Oxfamのプロジェクトでは現状は7年ほどのデータしかないようです。さらに、そのデータも信頼性はよくないようです。それでは、ペイオフが実際の損失の連動しない可能性が高いので、ギャンブルになりかねないですよね。

つまり、気候インデックスを使った保険の需要は田舎の農村地で高いのですが、その需要が高いところでは気候インデックスを行う為のデータが不足している。結果として、気候インデックスを使った保険は:

  • 需要があるところで行った気候インデックスを使った保険は、データが良くないので成功しない
  • データがあり供給しやすいところで行った保険は、パイロットプロジェクトでは成功だが、広範囲では成功するのかあやしい


のどちらかになると思います。

「需要もあって、データもある」状況を作り出す事でOxfamが行ったことで興味深かったのが、コミニュティーに自分で雨量を取らせることです。

子供が使うようなプラスチックの容器で雨量を測定するのですが、それを見たときは「こんなもので大丈夫か?」と心配しましたが、自動計測器との誤差は2.2%でした。ポリシーホルダーと測定者が同じという問題もありますが、コミニティー自身がマイクロインシュランスのプロジェクト・デザインに直接関わることができるのだと学びました。

ここでも、現地の人を「子供」扱いするのではなく、彼らの「能力を信じること」が大事だと思いました。


それでは

もちろん、「事前対策」や「事後対策」がだめだといっているわけではない。災害直後には、保険の支払いの計算などしているのでなく、無償の援助が必要だろう。ただ、もっと規模に左右されにくい対策があったらよいと思う。そこで僕は途上国での保険に興味がある。保険のプロジェクトを立ち上げるのに、多くの建物を建設する必要ない。保険の支払いは、メディアや政治に注目されなくても支払われる。

こんなところでも、公民の関連というか、民間(保険)の役割が出てくると思います。それに、無償の援助と違うので、自力でがんばる試みを育てる事になると思います。

保険は気候モデルに連動しているおり、周辺で干ばつが何かの指数で実測されれば、自動的に保険が入る仕組みになっている。これはこれで問題が無いわけではないが、モデルが正確に干ばつを指定できなければ、干ばつの指数が実際の被害と連動していなければ、この保険はギャンブルにしかならない。