温暖化・気候変動がGDP(国内総生産)に与えるインパクトはどれだけ

今回のCirceプロジェクト会議は実りある物だった。新しい話を聞けたし、ネットワーキングもうまくいった。もうなれてきたが、60以上の研究所が参加しているが日本人というかアジア人は僕だけだった。ここでいろいろやっていることを日本の人にも伝えたい。何かもったいない。欧州にはこんなメガ・プロジェクトで気候変動・温暖化の研究をしていますよ。

一番頭に残ったことは、ドイツの研究所(PIK)のジャエガー教授の質問だ:


「気候変動がGDP国内総生産)に与えるインパクトはどれだけか」


昨年、アル・ゴア氏の「不都合な真実」と同じぐらい、いろいろな人の口から語られてきた「スタン・レビュー・気候変動の経済学」では「気候変動でGDPかなり減りますよ」といっていました。

ジャエガー教授はそれに「まった!」といいたいそうだ。彼は気候変動はそれほど「世界GDP」には影響はないと思っているそうである。彼のいいたいことは、世界は戦争はエイズなどのいろいろな問題を吸収してきた、だから気候変動の被害も吸収してしまうだろうとのこと。注目しなくていけないのはこれは、気候変動が問題ないといっているのではない。

戦争は実際のところGDPを増やしてもおかしくないし、過去にもそうなっている。しかし、それで、戦争が問題ないとはいえない。GDPは問題点を計測する一つの基準にしかなり得ないのだ。

もし、国内で気候変動によって太陽電池の販売が促進され、貧困農家がさらに被害を受けるだろう。そして、これはGDPの低下ににはならない。儲かっている部分が、儲かっていない部分を相殺するからだ。これは国と国の間でも起こるだろう。

さらに、最近書いているがGDPとは市場によって金銭化されている商売しか考慮していない。つまり、健康や生態系の損失などは考慮に入っていない。環境経済学に限定しなくても、経済学は本来健康や生態系を「効用」に入れているはずだが、GDPは現実そうはいかない。


つまり、GDPが減っていないので気候変動が問題ないとは言えない。何か他の基準も同時に考慮するべきである。